東京・芝1600m
コース図・コース高低断面図
元JRA騎手 ダービージョッキー 大西直宏の解説
NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念などのGⅠ競走が行われる舞台。
形態としては、東京コースの中でも特に難しいところがなく、日本の競馬場の中でも最も癖が無く乗りやすいコースと言ってもいいでしょう。
スタートは2コーナーの奥で、3コーナーまでは十分な距離があるので、ポジション争いなどに神経質になる必要はありません。ですので、枠の有利不利も少ないですね。
ただ、3コーナー手前で坂をのぼるものの、再度下りの状態でコーナーに突入するため、息を入れたいハズのコーナーで息を抜けないのです。そのため東京芝1400mに比べて上がりが掛かる傾向にあることは覚えておきたいポイントですね。
一般的に『中距離を走れるくらいのスタミナが要求される』と言われるこのコースですが、乗っていた者からしてもその見立ては間違っていないと思います。マイル戦ながらスタミナ消耗戦になるコースで、このコースを逃げ切るにはスピードに加え、スタミナ、底力が必要と言えるでしょう。
僕は現役時代に、サニースワローという馬で、この舞台で新馬勝ちを収めましたが、その時の競馬が2番手追走から早め先頭で押し切る競馬でした。ご存知の方も多いと思いますが、そのサニースワローは後に日本ダービーで24頭立ての22番人気ながら2着と健闘。
その当時の複勝4680円は今もなお破られていない日本ダービーの複勝配当レコードのようですが、東京芝1600mで勝ち上がったサニースワローが東京芝2400mで好走していることからも、やはり東京芝1600mに適した馬は『中・長距離でも可能性のある馬』ですね。
ですので、馬券的な狙い目としては、1200m,1400mからの距離延長組よりは『1800m,2000mからの距離短縮組』だと思います。世間的にも“スピードが足りない”と盲点になりがちですが、コース形態をもとに考えると期待値は高いと思いますよ。