
福島・芝1200m
コース図・コース高低断面図


元JRA騎手 ダービージョッキー 大西直宏の解説
福島競馬場について、まず最初に知っておいてもらいたいことは『夏の開催』と『春・秋の開催』では様相が一変するということですね。
7月に行われる夏の福島開催は、立場としては関東の主場。ローカル開催時と比べれば、はるかに出走してくる馬のレベルは上がります。
さらに、芝も綺麗に生え揃っていて、馬場状態も良好。つまり、福島の中ではレベルの高いスピード勝負に対応できる能力や、前々から運べる先行力が重要になってきます。比較的、能力のある馬がしっかり勝ちやすい環境と言えるでしょう。
一方で、ローカル開催として行なわれる春・秋の福島、いわゆる『春福(ハルフク)』『秋福(アキフク)』と呼ばれる福島開催は、まったくそれとは状況が違ってきます。
まず、根本的な条件として、参戦してくる馬のレベルが違いますね。G1戦線真っ只中の東京・阪神(京都)開催の裏という位置づけで、基本的に、能力もあり順調な馬はこの開催に回ってくることはほとんどありません。
どの馬もどこかに弱点を抱えているとか、何らかの事情を抱えていて中々勝ち切れず、それを小回りローカル競馬場と相手のレベルの低さでごまかしたいというクチなんですね。
乗っている側からすると、どのレースもどんぐりの背比べのような力関係で、加えて小回りコースですから“どのレースも騎手の腕一つで勝たせることが出来る”という意味では、非常にやりがいのある開催でした。
その意味でも、僕は現役時代、通算521勝を挙げさせてもらいましたが、全10場の競馬場の中で『最も勝ち星が多かったのがこの福島(158勝)』だったことはジョッキー冥利に尽きますね。
また、福島競馬場と言えば、極端に変化する馬場状態も注目すべき点。これは特に『秋福(アキフク)』に言えることなんですが、やはり馬場は良くないですね。
季節的なものもあり芝の回復力が弱いので、週が進むごとにどんどん荒れてきます。そうすると時計も掛かってきますし、内が荒れてスピード任せの押し切りも厳しくなってきます。
そうなると、メンバーレベルもあって、数字の上ではどんな馬でも勝てるような状況になってくるので、そのことはシッカリと頭に入れておきたい要素です。
前置きが長くなってしまいましたが、福島芝1200mはコーナーまでの距離が412mと長いため枠順による有利不利は基本ありません。ただ、先行馬であればやはり内枠を引くにこしたことはないでしょう。
馬券的な狙い方としては“馬場状態次第”で臨機応変に対応できる構えが理想。開催前半か開催後半かによって狙える馬は変わると思います。分かり易く開催前半であればスピードを活かせる先行タイプ、開催後半であれば差し・追い込みタイプになるでしょう。
馬場状態の判断としては今はJRAからクッション値が発表されていますが、「馬場のドコが伸びるのか」「時計の出方と比較して実際の印象はどうなのか」などなど、リアルなところは実際に乗っている騎手の意見を聞けるのがやはり理想ではありますね。
なお、僕が協力している【WORLD競馬WEB】は、開催日当日も各競馬場に情報筋を配置して、騎手や調教師など様々な関係者からナマの声も入手できる体制を整えています。
つい先日もこの福島と同じく馬場状態の把握が馬券検討のカギになる冬の小倉(芝1200m)で殿堂級の38万馬券的中が飛び出しましたが、そのような超特大配当を狙って仕留めることができるのも、シッカリと馬場状態が把握できていたからこそですね。
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