平日コンテンツ

『若きスラッガーが放った会心のアーチ』


【2009年 葵ステークス】

 北海道市場セレクションセール(07年1歳)にてスカウト(3150万円で落札)され、「エイシン軍団」入りしたエイシンタイガー。西園正都調教師が初対面したのは2歳の初春、岡山の栄進牧場での育成中だった。それ以来、この世代の「4番バッター」になると見込まれていた。
「その日は次々に30頭以上も見学させてもらったのに、垢抜けた馬体がずっと目に焼きついていたよ。現地の評価も、一貫してトップクラスだった」
 2歳の6月、栗東へ。1か月後には阪神の芝1400m(3着)でデビュー。続く小倉(芝1200m)も3着に終わったが、新潟・芝1400mを順当に勝ち上がる。新潟2歳S(4着)、ききょうS(2着)、かえで賞(3着)、京王杯2歳S(3着)と、相手を問わずに上位を賑わした。黒松賞は2馬身差の快勝。連闘で朝日杯FS(8着)にも駒を進め、年明けはマーガレット(3着)より再スタートを切った。
「コロナドズクエスト産駒は、前向きすぎる性格が障害になることが多い。母タイフウジョオー(その父サンデーサイレンス、4勝)も気難しい馬だった。それなのに、タイガーという名前に反して、普段は猫みたいに大人しくてね。手脚は丈夫だし、体調の変動が少なく、とても仕上げやすいんだ。ただし、この馬で悩ましかったのは、精神的に頼りない点。早めに先頭に立つとソラを使う。そんな課題を抱えていても、だんだん調教では鞍上と息を合わせ、しっかり末脚を伸ばせるようになってきた。当時も完成度が高かったとはいえ、決して早熟ではない。フィジカル面の成長がはっきりうかがえたから、そろそろホームランを期待していたよ」
 鮮やかにオープン勝ちを収めたのが葵Sだった。好位でぴたりと折り合い、危なげなく抜け出す。「野球は巨人」の西園師も、「スプリント界に、いずれタイガーの時代がやってくる」と、明るい未来を思い浮かべていた。CBC賞はクビ差の2着に食い込んだ。アイビスサマーダッシュ(5着)を経て、京洛Sに勝利する。
「京阪杯(12着)は落鉄して失速。阪神C(8位入線も12着に降着)だって、外枠が応えたし、きつい流れを先行したもの。いずれの敗因もはっきりしていた。淀短距離Sは完勝だったし、内容も画期的。追い出しをぎりぎりまで我慢した結果、ようやく隠されていたギアが見つかったと思えた。でも、シルクロードS(8着)以降も、なかなか展開に沿ったレースができなくて。徐々に心身のフレッシュさが薄れてしまい、未完のままで終わったのが残念でならない」
 5歳時のCBC賞(10着)まで8連敗を喫し、地方へ転出。ほろ苦い後半の競走生活だった。しかし、高速決着となった京都のオープンを3勝した実績が示す通り、破格のポテンシャルを秘めていたのは疑いようがない。牙をむいたタイガーの勇姿は、いまでも多くのファンの目に焼き付いている。
 


葵ステークス
1着エイシンタイガー  牡3 56 川田将雅 西園正都
2着レディルージュ   牝3 54 鮫島良太 安田隆行
3着アグネスナチュラル 牝3 54 藤岡佑介 長浜博之

 単勝  610円
 枠連 1,880円
 馬連 2,710円
 馬単 5,380円

3連複  14,570円
3連単  74,020円




Copyright © 2006 WORLD, Inc All Rights Reserved.
このサイトに掲載の記事・写真・映像などの無断複製、転載を禁じます。すべての著作権はWorldに帰属します。

前のページへ戻る

PAGE TOP